
導入事例#039

株式会社ヤマ伍三矢商店さま(愛知県幡豆郡一色町)
「愛知県の三河湾に面する一色町は、えびせんべいの発祥地として知られています。 その一色町で50年以上にわたり、えびせんべいを製造・販売している株式会社ヤマ伍三矢商店さま。 素焼きや二度焼きのえびせんべいなど、素材の持ち味を生かした多彩な商品は人気があります。
「当社では、良質のえびをたっぷり含み、しかも調味料の使用を極力控えることで、素材本来の旨味や香りがしっかりと味わえるえびせんべい作りにこだわっています。
そういった高級品はこれまで手焼きでしか製造できませんでしたが、機械化による量産を実現して、より多くの方に一色町産の美味しいえびせんべいの味を知っていただきたいと考えていました」と、株式会社ヤマ伍三矢商店の代表取締役の三矢さまは語ります。
中部電力では、高級えびせんべいの量産化の実現に向けて、新たな製造ラインの開発に向けてお手伝いすることになりました。


高級えびせんべいとは、原料におけるえびの含有量をかなり多くしたものです。 原料の配合比率は、廉価品は「えび:澱粉=1:9」であるケースが多いのに対し、めざす高級品は「えび:澱粉=2:1」です。 ただし、えびの含有量を多くすると粘り気が強くなり、焼成工程における生地の量が安定せず、大きさや形などを揃えるのが非常に難しくなります。 加えて、温度管理が難しいため、焼き上がりの品質が安定しにくことも課題でした。
より均一の品質の生産をめざして、従来は手焼きでしかできなかったえびの含有量の多い生地に対応した量産機として「電気式連続焼成機」を中部電力とメーカーが協力して開発することになりました。 加えて、えびせんべいの約30%(重量比)に割れが生じていた味付け及び乾燥工程においては、その対策として「連続式えびせんべい味付け乾燥機」の開発をおこなうことになりました。
株式会社ヤマ伍三矢商店さまには、構想から実証試験まで複数年をかけて開発や性能評価に協力いただき、導入に至りました。


焼成工程においては、従来は内部ニクロム線方式の手焼き型回転式焼成機を使用していました。
しかし、焼成板ごとに加熱の作動と停止を繰り返しているうちに、流れる熱量にバラツキが生じ、焼き上がり品質が安定しにくいことが課題でした。
また、焼成板に接続した電気の配線が切れてしまうといったこともありました。
新たに導入した電気式連続焼成機は、従来のように焼成板ごとに加熱するのではなく、焼成板が流れるコンベヤ全体をボックス状に覆って、その中を遠赤外線ヒータにより非接触で加熱します。
これにより、焦げ付きや焼きムラなど焼き上がり品質のバラツキが解消されました。
また、生地の供給部を改良し、シリンダによる定量押し出し方式を採用したことで、えびをたっぷり含んだ粘り気の強い生地を設定通り安定して供給できるようになり、大きさや形などを均一に揃えることができるようになりました。
「電気式連続焼成機では、温度と時間の管理が容易に行えるようになり、品質が安定しました。 また、生地の定量供給が可能になったうえ、生地の厚さをミリ単位で細かく調節ができるようになったお陰で、新商品開発の可能性が広がりました」(三矢さま)


従来の味付け工程では、噴霧式味付け機を使用していました。
噴霧式味付け機では、焼き上がったえびせんべいを大型回転ドラムの中に投入し、そこにノズルからタレを噴霧しながら味付けします。
このドラムの回転時の衝撃に加え、乾燥用の網にえびせんべいが移される落下時に多くの割れが発生していました。
次の乾燥工程では、ガス燃焼式熱風乾燥機を使用していました。
乾燥機の内部は5段コンベヤ式になっており、流れているえびせんべいがコンベヤの上の段から下の段に移り替わる時の落下も、割れの大きな原因でした。
新型の連続式えびせんべい味付け乾燥機は、遠赤外線による輻射加熱を採用した結果、乾燥時間が大幅に短縮。 これにより1段のワンウェイコンベヤで味付けと乾燥を完了させることが可能になり、ドラムの回転衝撃による割れとコンベヤからの落下による割れが無くなり、歩留まりを大幅に改善できました。
「新しい味付け乾燥機は、えびせんべいの割れの原因を解消できたことで、従来は約30%だった破損率が5%以下まで低減しました。 また、これまで約30〜50分かかっていた乾燥時間を約4〜5分に短縮できましたし、味液の使用量も10分の1以下で済むようになりました」(三矢さま)
また、従来のガス燃焼式熱風乾燥機の場合は、燃焼のために外気を取り入れる必要があり、室温が変化するため、乾燥温度を管理するのは非常に難しいことでした。 連続式えびせんべい味付け乾燥機では、温度管理が容易におこなえるようになったうえ、電気式に切り替えたことで工場内の温度上昇も抑えられ、作業環境が大幅に改善されました。



電気式連続焼成機と連続式えびせんべい味付け乾燥機を導入して、えびをたっぷり含んだ高級えびせんべいの量産体制を整えた株式会社ヤマ伍三矢商店さま。
一色町の伝統産業を担う企業として、えびせんべい作りの新たな可能性を追求するとともに、地域社会への貢献事業として、地元の小学生の食育授業や体験学習へ積極的に協力しています。
「十数年前から小学生を工場に招いて、えびせんべいの製造工程の見学や実際にえびせんべい作りを体験してもらっています。
電気式の手焼き機は安全性が高ため、安心して学習できると好評です」
株式会社ヤマ伍三矢商店さまは、生産体制の強化を機に、独自のブランド商品の開発をめざすなど、更なる飛躍を図っていく考えです。 中部電力では、導入した電化設備機器およびエネルギーの運用改善の提案などを通じて、株式会社ヤマ伍三矢商店さまの取り組みをこれからもお手伝いしていきます。

