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エネルギー提言Vol.4 経済ジャーナリスト・財部誠一さん成長する企業の条件とエネルギーの未来【後編】

財部誠一プロフィール

社会の変化に伴い、企業を取り巻く環境も大きく変わろうとしています。 今の企業が抱える課題は、CO2削減をはじめとする地球環境保全活動、変化する社会情勢への適応など実にさまざまです。 「エネルギー提言」では、企業活動における重要な課題であるエネルギー活用を中心に、各界のリーダーのインタビュー記事を掲載しております。

今回は、経済ジャーナリストの財部誠一さん。 前編では、日本経済の現状から成長するアジア市場、世界の電力について語っていただきました。 後編では、逆境を乗り越える企業戦略や生産拠点のエネルギー、経済の視点で考える環境など、企業のエネルギー活用や環境活動に関わる話題をうかがいます。

製造現場のエネルギーロス改善で経営の合理化を

エネルギーの選択や活用術は、企業経営にも影響を与えます。 高品質な電気が安定供給される日本は、恵まれた製造環境にあると述べました。 実際には日本の製造業の現場、つまり工場では蒸気を動力として使用しているところが多いんですね。 燃料を燃やして水蒸気をつくり、蒸気の力で生産設備や空調設備を稼働させるわけですが、その際に多大な蒸気エネルギーをロスしているといいます。 古いシステムや設備を大事に使用しているのでしょうが、古い設備は最近のものと比べると効率的ではなく、それもまたエネルギーロスにつながっているといえます。 そういう工場は日本中にたくさんあります。

しかも、蒸気エネルギーのロスを認識していながら、実際にどれくらいのロスがあるのかを把握していない、ロスを検証する術すらわからない工場も多いと聞いています。 これでは合理化を図ることはできません。 まずは、エネルギーの使用状況やムダを検証して把握する。 生産設備の使用エネルギーを電気に切り替える、あるいは蒸気をつくる燃料を電気に切り替えるだけでも、かなりの合理化を図ることができるのではないでしょうか。

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「エネルギーの選択や活用術は、企業経営にも影響を与えます」

逆境を利用して次の準備をしておく

しかしながら、現在のような状況では「工場の稼働率が落ちているから、大きな設備投資ができない」という企業も多く、業績好調な企業でも設備投資に対して消極的です。 それは仕方がないことですが、そこそこの余裕があるのなら、生産ラインの動きが落ち着いている今の時期に、設備を見直して効率化を図るのもいいと思います。
トヨタの場合は工場の稼働率が落ちて時間的に余裕ができると、その時間を使って従業員に改善の勉強をさせました。 稼働率が落ちた状況を逆手にとり、忙しい時にはできない従業員の教育などに取り組み、次に備えるのです。 こうした取り組みは、次のステップでジャンプアップするためには必要です。

企業に必要なのは、新たな経営環境への適応

工場の稼働率が落ちたならば、稼働率を上げるために新しいビジネスモデルに転換する方法もあります。
新しいビジネスモデルとは、まったく経験値のないことにチャレンジすることではありません。 わかりやすくいえば、パン屋の新しいビジネスモデルとは、たとえば小麦粉を使ってパン以外の商品をつくるとか、店舗のほかにも販売する場を確保し、販売網を広げることだったりします。 つまり、今ある商品や技術をイノベーションさせる、あるいは商品や技術はそのまま使いながらマーケットを拡大させる。そういう考え方で、ビジネスモデルを変えていけばいいのです。

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「今ある商品や技術をイノベーションさせる、あるいは商品や技術はそのまま使いながらマーケットを拡大させる。そういう考え方で、ビジネスモデルを変えていけばいいのです」

大同特殊鋼という鋼材メーカーは、アジアに販売網を持つアメリカの企業と業務提携をしました。 アメリカ企業の販売網を活用して、自社の製品を中国に販売するためです。 日本国内での需要拡大が期待できないのなら、需要のある中国などに販売網を広げていく。 そう考え、ほかの企業と提携するビジネスモデルをつくったといえます。
景気が悪いから、工場の稼働率が落ちたから、何もできない、何もしないのではなく、トヨタのように稼働率が落ちた状況を利用して先を見据えた対策を講じておく。 大同特殊鋼のように販売網を海外へと拡大させることで、稼働率を上げていく企業もあるのです。

日本はもっと本気で環境技術に取り組むべき

先ほど生産設備のエネルギーロスについてふれましたが、ロスの改善は経営の合理化にも役立つだけではなく、環境保全活動にもつながります。
環境といえば日本の環境技術のレベルは高く、現在、先進的な環境技術は日本にあるといえます。 太陽光発電もパネルから細かいパーツに至るまで、それぞれの最高技術を持っているのは日本ですし、自動車も世界各国でハイブリッドだ、電気自動車だといわれていますが、日本の技術なくして実現はできません。

それは事実ですが、だからといって日本の環境技術が海外を大きくリードしているかというと、実はそうでもないといいます。 自動車や電機メーカーなど、いろいろな業界の人に話を聞いてみましたが、技術畑の人ほど「間違いなく環境技術のトップは日本だ。 でも、海外との差は意外と小さい」という言葉が返ってきました。 日本がダントツで独走し、海外を大きく引き離しているとはいえないようです。 つまり日本は環境技術にもっと本気で取り組まないと、近い将来、海外に追い抜かれてしまうかもしれない。 それは、世界のマーケットで戦えなくなることを意味しています。

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「日本は環境技術にもっと本気で取り組まないと、近い将来、海外に追い抜かれてしまうかもしれない」

経済の視点で見れば環境技術も熾烈な戦い

電気自動車を例にして述べると、電気自動車にはモーターに電力を供給する蓄電池が使われています。 今後開発が進んで蓄電能力が10%、20%と段階的に向上し、それに伴って充電時間は短くなり、走行距離は伸びていくでしょう。 しかし、そういう蓄電池の進化とは別に、突如として革命的な蓄電池が生まれるかもしれません。 海外のベンチャーが今までの蓄電池とはまったく異なるロジックで新しい蓄電池を開発し、30分の充電時間で500km走行を実現してしまう可能性もあります。 産業の歴史を見ていくと、こういう革命的なことが起こりうるのです。
蓄電池に限らず、もし海外で産業革命的な環境技術が生まれたら日本は負けてしまうかもしれません。 逆に日本で革命的なものが生まれたら、ダントツで世界をリードできる可能性もある。 環境技術は環境保全に貢献するという面だけでなく、経済という視点から見れば、生きるか死ぬかの厳しい国際競争の中にあるといえます。

企業は従業員が誇りに思う環境活動を

1990年代に環境ブームが日本を席巻し、今では多くの人々が地球環境について考えるようになりました。 企業も社会的責任の一環として環境活動に取り組むようになっています。

企業がどんな環境活動をどう実践しているのか、それは個々の企業の状況や業種業態によって異なります。 ですから、ホームページなどの情報を見て「この会社はよくやっているけど、あの会社はあまり取り組んでいない」などと一概に評価することは難しいのではないでしょうか。 私は企業の環境活動の一番のポイントは、従業員の意識だと思っています。 従業員一人ひとりが「うちの会社ほど一生懸命に環境活動に取り組んでいる会社はない」「地球環境に配慮して、うちはこんなことまでやっているんだ」と誇りに思えるかどうかが重要だと考えています。

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「企業の環境活動の一番のポイントは、従業員の意識だと思っています」

エネルギーの見える化で意識を改革

環境活動は、企業のイメージアップを図るためのプロモーション活動の一環ではありません。 どんな環境活動を実施しているのか、それをアピールすることに力を注ぐよりも、従業員に省エネや省コスト、CO2削減を意識させることに力を入れて欲しいですね。
では、どうすれば従業員に省エネや省コスト、CO2削減を実感させることができるのか。 エネルギーやCO2は見えませんから、日々の取り組みだけで実感させることは難しいものがあります。 そこで、エネルギーの見える化が必要となります。 生産設備や工場のエネルギー使用量とかCO2排出量が、自分たちの環境活動によってどう変化したのか。 それを数値化し、見える化することは 従業員に「ここまで省エネできた。 CO2を削減できた」という実感や達成感を与え、環境活動を続けていくモチベーションの向上にもつながっていきます。
中部電力のソリューションには、エネルギーの見える化のサービスもあると聞きました。 これは中部電力の単なるサービスのひとつではなく、企業の意識や従業員一人ひとりの意識そのものを変えていく、重要な役割を担っていくという印象を受けました。

未来を見据え、エネルギーについて考える

社会にとってエネルギーは欠かせないものです。しかし、私たちは地球環境の保全や化石燃料の枯渇といった課題も抱えています。これからは一人ひとりが電気について、エネルギーについて本気で考えることが必要でしょう。

再生可能エネルギーや原子力も含めて、今後の社会にとって本当にプラスになるエネルギーには何があるのか、エネルギーをどう組み合わせて活用することがベストなのかを探っていく。そのための論議を重ねていくことが必要でしょう。電気を供給する中部電力はもちろん、電気を使う社会の一人ひとりが真剣に考えるべき時期に来ていると思います。

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「電気を供給する中部電力はもちろん、電気を使う社会の一人ひとりが真剣に考えるべき時期に来ていると思います」

【 中部電力から皆さまへ 】

私たち中部電力は、お客さまの現場での課題をカスタムメイドで解決するエネルギー・ソリューションで、あらゆる企業活動を支援したいと考えています。

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